甘い電気

 

 

 

「おはよう、けん」

 いつもより、もう少しだけ優しい声で日向さんが呼ぶ。

 おはよう、ひゅうがさん。

 そう言いたいのに、まだまだ瞼が重くて目を開けることができなくて、声も出ない。

 どうして、俺ってこんなに朝がダメなんだろ。

 そううつらうつらと考えて、また深い眠りへと落ちそうになる。

 

「しゃーねーな」

 そう言いつつ嬉しそうな声で日向さんが呟いたかと思うと身体に電気が走った。

 甘い電気。

 長い指が胸に触れる。ゆるく、なぜるように。

 眉を寄せて、痺れるような刺激に耐えていると今度は少し強めに摘み上げる。

「あっ・・・」

 強くなったかと思うと優しくなり、そしてまた激しくなる。

 日向さんの指先は、日向さんと同じように。

 ヤサシクてイジワルだ。

 

 散々息を乱され、泣かされてしまった。

 恨みを込めて日向さんを見上げる。

「おはよう、健。何朝っぱらから艶っぽい瞳で見てるんだよ?」

「・・・・・・睨んでるんだけど。」

「くくくく・・・・。だめだよ、そんな瞳だと『もっとして』って言ってるようにしか見えないぜ。」

おもしろそうな日向さんの言葉に不貞腐れてしまう。

 俺はこんなに日向さんに指先ひとつで乱されちゃうのに、なんで日向さんはいつもこんなに余裕あり気なんだろ。

 そんな俺の気持ちに気がつかないようすで日向さんは言葉を続けた。

「しゃーねーだろ?眠ってるお前を起すのはコレが一番効果的なんだから。」

    ・・・・恥ずかしながら、ごもっとも、かも。

「こうやって起すのは楽しいけど、途中でガマンしなくちゃいけないから、俺だって本当はヤなんだからな。」

 ほら、と中心に手を導かれると・・・・。わ、すごい。あまりの日向さんの大きさに今更ながらに驚いてしまう。いつもはワケわかんなくなる頃に見てたから、日向さんのをちゃんと見たことなかったっけ。

 

 見ているとまた少し大きくなって硬さが増したのがわかった。

「やべっ。お前のそのおっきな瞳で見られただけでもイキそうになる。」

 そう言われて、なんで俺が赤くなるんだろう?

「続きをしたいのは山々だけど、起きなきゃな。」

 勢いをつけて起き上がる日向さん。着替えてる背中を見ると、広くて抱きしめられたくなってしまう。

「続きは、もちろん今晩な。」

 にやりと笑いながら耳元でささやかれるとまた甘い電気が走った。